成長期の子供の原因不明の痛みについて(成長痛)
子供って体が大きくなるために、骨が大人と違って柔らかく、関節の近くの骨は
骨端線(こったんせん)というつなぎ目があり骨が完全につながっていないんです。
自分も子供の頃にかかとが痛くて、少しかかとをぶつけただけで激痛があったり、膝や背中が痛いなんてありました。
あの頃は病院に行っても『成長痛ですね』って言われて終わりだったけど、実はただの成長痛じゃない場合もあります。
自分が仕事上見かける疾患について記述します。
足の疾患
- 第1ケーラー病
4〜8歳の男の子に多く、足の内側の真ん中辺りにある舟状骨という骨の骨端線の痛みで自然治癒するけれども痛みが治るのに2年くらいかかることもあります。
原因として過度の運動による事が多いです。
運動痛と押した痛み(圧痛)が特徴です。
レントゲン写真で大体わかります。
- フライバーグ病(第2ケーラー病)
10〜17歳くらいの女の子に多く、足の指の付け根(中足骨の指先側)に痛み、腫れが起こり、放っておくと骨が変形してしまいます。
原因がはっきりせず、骨の血行が悪くなることにより変形してしまいます。
病院での治療が必要です。
レントゲン写真やMRI検査を行います。
- セバー病(踵骨骨端線症)
10歳前後の男の子に多く、ぶつけたりしていないのにかかとに痛みが出ます。
原因は走ったりジャンプすることにより繰り返される、アキレス腱の牽引力によってかかとの骨端線が開いてしまい痛みがでます。
安静にしてればそのうち治り、成長期が終わる頃には自然に治ります。
股関節の疾患
- 単純性股関節炎
3〜10歳くらいの子供に多く股関節から膝にかけて痛がり、歩くだけでも痛がります。
股関節の滑膜(狭い隙間)に関節液がたまり(水がたまる)、そのせいで動作痛がでます。
原因として細菌が入って起こることが考えられ、風邪や外傷後になることがあります。
1〜2週間程の安静で治りますが、早く安全に治したい場合は入院する場合もあります。
MRIやエコー検査ではっきりと分かります。
- ペルテス病(大腿骨頭壊死)
4〜8歳くらいの男の子に多く、股関節前面から膝にかけての痛み、運動痛、動きに制限が出ます。原因ははっきりしないんですが、大腿骨頭と言われる股関節の骨に血液が十分に流れなくなり壊死してしまい、骨が変形してスポーツは出来なくなります。幼少期は痛みのある足には体重をかけられず(体重をかけてしまうと骨の潰れがひどくなってしまうため)装具や松葉杖での生活を数年しなくてはいけなくなります。
この病気は完全に治ることは難しいです。
レントゲン写真、MRI、CT検査を行います。
膝の疾患
- オスグッド・シュラッター病
12歳くらいの子供に多く、膝のお皿の骨(膝蓋骨)の下の出っ張た骨(脛骨粗面)に痛みが生じます。運動痛と痛い箇所の膨隆を生じます。
原因としてスポーツによる膝の使いすぎにより、お皿と下腿の骨につながっている靱帯(膝蓋靱帯)が過度の収縮を繰り返すことにより、靱帯がつながっている脛骨側の骨が剥離してしまいます。
放っておくと剥離した場所がひどくなり大きな骨片ができてしまい、酷い場合は大人になっても動かすと周囲とこすれ合って痛みが続いてしまう。
安静やサポーターを付けたりして自然治癒を待ちます。
レントゲン写真でわかります。
10〜12歳ごろに多く、上記のオスグッド病と同じような理由で起こる。名前の通りジャンプ競技に多い疾患です。
痛みの場所はお皿の骨の下(膝蓋骨下部)で、運動痛、圧痛、腫れが起こります。
原因としてお皿の骨の下の靱帯に引っ張られ痛みが生じます。
レントゲン写真でわかります。
*子供の頃は骨よりも靱帯の方が強いので引っ張られると靱帯よりも付着部の骨の方が損傷を生じやすいです。
まとめ
ざっくりとですが、以上のような子供の成長期に起こる比較的よく見る(ペルテス病は滅多にありません)一部の病気の紹介をしました。
痛みが続く時は整形外科を受診した方がいいでしょう。